卵巣腫瘍

土曜日に救急車で搬送された。

緊急手術になるものとばかり思っていたが対応した医師は腸閉そくも併発していることと
画像から単純に手術できるものではないと判断された。



腕の血管が細く表面に出ていない娘の点滴は難しく、この3日間に何度も刺しかえられた
今日はレントゲンや脳波、ガス検査と抑えつけられ、針を刺され痛い思いをたくさんした。

それでも頑張っている娘に何度偉いねと褒めただろう。

心が幼児のままの娘には状況判断もなぜ痛い思いをしなければいけないかも、きっと
理解できないだろう。

明後日の手術について術式や、リスクや良性ではない場合の対応について説明があった。

良性であれば患部だけを切除するだけで済むのだか、もし細胞検査の結果が悪性ならば
すべての臓器を取り除いてリンパ節も取る事になる。

リンパ節を取ってしまった場合の術後の合併症を考えると娘が今以上に
日常の行動を制限されてしまう。

執刀される医師も障害のない女性の場合とは異なり、術後のQOLも考慮して極力
リンパ節は残す方向で考えていると言われた。

本来悪性の場合はすべて切除して病巣を残さないのが普通なのだろうが、放射線治療や
リンパ浮腫といった合併症を抱えることは、自分の言葉を持たない娘にとってどれだけ
辛いだろうと胸が締め付けられる。

今でも自分の思うように生きていないだろう娘がこれ以上自分らしく生きられないのなら
病巣が残っても、自分らしく過ごせる時間をたくさん作ってやりたいと思う。


娘たちのような重度の発達遅滞がある人たちは、痛いという意思表示が周囲に理解しにくいため
病気の発見が遅れ受診したときには手遅れということが多々ある。

周囲も、本人も誰も悪くはないのだが家族は気付いてやれなかったことを悔やむ。

こども病院で対応してくれた医師は我が家だけの問題ではないのだと、平常心を取り戻させて
くれた。

26年間娘の主治医であった医師に電話をした、すでに後任の医師と土曜日に対応してもらった
研修医から娘のことは耳に入っているようだった。

娘は生後5日目からてんかんの発作を繰り返し、難治性てんかんと供に生きてきた。

ここ10年近くは絶妙なバランスの投薬で日常生活に支障のない程度の状況まで来ていた。

卵巣のう腫の手術が綱渡りをする娘の脳に影響するかもしれない、せっかっく毎日作業所に
通って仕事をする楽しさも味わえるようになっていたのに。

そんな不安を元の主治医に相談した。

まず、手術で現状の改善をすることを第一に考えなさい、発作のことはそれから考えれば
いいからと諭された。

すべてを一挙に解決する策などないことは十分理解しているつもりだが、もうこれ以上痛い思いは
させたくないと思うと、これは夢なんだと自分自身に言い聞かせたくなる。

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